撚糸とは|長繊維(ナイロン・エステル等)の撚糸加工

撚糸・リング撚糸加工

リング撚糸機による撚糸加工

撚糸加工を主として舘撚糸は昭和27年に設立しました。ナイロン系、エステル系など各種の繊維の撚りをリング撚糸機を用いて行っております。

機械の仕様としては、3インチ半・100錘×1台から4インチ半、6インチ半、8インチ半まで合計6種10台を保有し、ボビン・紙管・木管各種に対応しています。

漁網をはじめ、工業業ミシン糸、産業用資材用の糸など、弊社では特に太い撚糸の加工依頼が多く、それに対応出来る設備を備えております。1玉の巻き量も3kg玉程度まで対応可能です。

リング撚糸加工機

12インチ半リング撚糸機2017年導入

リング撚糸加工機としては大型の10インチ半の加工機です。この設備の導入によって、今までより直径の太い糸の加工が可能になったことや、巻量の大きなものが生産可能になりました。

また、機械の仕様として従来の歯車による撚り数の制御から、インバーター式に変更したことで、歯車交換と撚り具合の検討作業などの時間が大幅に削減できたことや、歯車の在庫保持が不要になるなど様々な面で生産性のが向上しました。

画面右下は従来設備8インチ半での最大撚糸可能な直径と新設備10インチ半での撚糸可能な直径です。サンプルでは視覚的にわかりやすく赤と青の糸を混ぜて撚糸していますが、実際にそのデザインの糸を生産しているわけではありません。あくまでサンプルとしての意匠です。

リング撚糸加工機
リング撚糸加工機

リング撚糸加工機

リング撚糸加工機
3インチ半100錘1台
4インチ半100錘2台
4インチ半68錘1台
5インチ半60錘1台
5インチ半96錘1台
6インチ半96錘1台
6インチ半120錘1台
8インチ半40錘1台
10インチ半12錘1台

撚糸とは?

撚糸とは、衣類に使われている糸や裁縫の時に使った糸など、一般的に糸には「撚り(より)」がかけられています。裁縫の時に針に糸を通す際、何回か通すことを失敗したり、糸の切り方が不十分の場合に糸が解れた状態を見ることがあると思います。あれが撚りがかかっていた状態です。糸はこの撚りのかけ方で様々な強さや性能を得ることができます。このような撚りをかけた糸のこと、または糸に撚りをかけることを撚糸(ねんし)といいます。ちなみに弊社、舘撚糸はタチネンシではなくタチヨリイトと読みます。

また、撚りをかけない「無撚糸(無撚糸)」という加工方法もあります。加工方法は様々あり、一度撚りをかけたものを逆に撚りをかけることで解く手法。水溶性の糸と2本で撚糸することで、その後の染色作業時に水溶性の糸だけ溶解することで1本が撚りが解けた状態にする手法。そして弊社が行っている圧縮空気を原糸(フィラメント糸)に当てて、互いをループ・結束させて糸にするエアー加工(タスラン加工)などがあります。

無撚糸とは?>>>

撚糸加工前
撚糸加工後
実際の撚糸例

撚りの方向

撚糸には撚りの方向があり、糸が右下から左上に上がっているものを右撚り・順撚り(S撚)といい、糸が左下から右上へ上がっているものを左撚り・逆撚り(Z撚)といいます。時計回りの撚り方が右撚り(S撚)です。

撚りの方向を変えることで光沢の度合いや摩擦係数が変わるため製品になる際の用途や仕様によって撚りの方向を決めます。弊社が納品している業界のひとつ、漁網においては撚りの方向によって、網を引っ張った時の手への馴染み方や魚のかかり具合などが違うそうです。(撚りの強さも影響します)

右撚り・順撚り(S撚)
左撚り・逆撚り(Z撚)

撚数・撚りの強さ

撚数とは1mの糸の間にどれだけ撚り(回転)が入っているかの数値です。

単位当たりの回転数によって、右記の表のように、甘撚糸・中撚糸・強撚糸・極強撚糸の4つに分けられます。

表を参照すると弊社が扱う撚糸の多くは甘撚糸に属しますが、各業界・糸の太さによって同じ撚り数でも表現が違うこともあります。

種類撚数(T/m)
甘撚糸500以下
中撚糸500~1,000
強撚糸1,000~2,500
極強撚糸2,500以上